京太郎のブログ

社会問題についてと作品評論を書いてます。

noteも始めました

書けないことへの漠然とした恐怖 全くブログが更新できておらず申し訳なさを感じている。 いや、誰に対して? という話であるが。 なんだかんだ最近、読書と書く時間がなかなか取れない。仕事やプライベートが忙しいせいもあるし、小説を書いているからとい…

データリテラシーの意義とその限界

はじめに 2.データリテラシーの重要性 3.データリテラシーの限界 4.問題はデータリテラシーではない 5.私たちにとってデータや統計とは何か? 6.データや統計を正しく扱うために 【参考】 はじめに 統計はありのままの現実を映し出していて、人間の主観や恣…

「なんかそういうデータあるんですか?」「それってあなたの感想ですよね」という詭弁的ミーム

1.はじめに ベネッセホールディングスが集計した小学生の流行語の一位に、ひろゆき氏の「それってあなたの感想ですよね」がランクインしたというニュースがあった。 現在、「データを伴わない意見はただの感想でしかない」というアホみたいな風潮があり、デ…

統計のバイアス~データの信頼性、ファクトチェック~

1.はじめに 1.信頼性のないデータとバイアス 2.社会調査方法によるバイアス 2.1.アンケート形式 2.2.電話調査 2.3.インタビュー形式 3.質問内容によるバイアス 3.1.回答者の状態によって発生するバイアス 3.2.調査アンケートの表現によるバイアス 4.時代によ…

データは客観的事実ではない~文系のための社会統計学入門~

1.はじめに 2.統計は仮説から生まれる 3.統計は表現物である 4.データはメディアであり表現である 【今回の参考文献】 1.はじめに 統計学やデータサイエンスが持て囃されるようになって久しい。 しかし、社会問題に関する議論で統計やデータを重視する立場の…

弱者男性論とは何か? ~あてがえ論との関係~

0.弱者男性論とあてがえ論 1.弱者男性論の要素 その① 男性の収入 その② 社会に蔓延した価値観の批判? ③男性の孤独、男性はケアされていない? 2.現代はどういう時代か? 3. 弱者男性の弱者とは何か? 4.根本的な解決について 【参考文献】 5.余談 0.弱者男…

科学主義と科学信仰の現代

1.「科学」の幻想 2.「科学」は面倒な議論を単純化できる。 3.自分を合理的な人間だと思いたい人達 4.「配慮」と「共感」の現代 4.崩壊する民主主義 【参考文献】 1.「科学」の幻想 「科学」という言葉は、かなり安易に使われている。 「科学的」であるとい…

科学的思考とは何か?~「科学的議論」という詭弁~

1.「科学的思考」の時代 2.「科学的に説明しろ」「科学的な根拠を出せ」という批判 ①科学的に説明するとはどういうことか? ②科学的に説明できるとする根拠は何か? ③なぜ「科学的」である必要があるのか? 「科学」に対する幻想その①「科学の世界では何が正…

科学とは何か?~エセ科学、疑似科学との違い~

0.そもそも「科学」とは何か? 1.科学の特徴について 説その1:科学は確実な事実について記述する。 説その2:科学には反証可能性がある。 説その3:実験ができないなら科学じゃない 説その4: 再現性があるのが科学 2.科学の水準は変化する 3.「科学」は生き…

科学で証明できないこと~科学哲学入門~

はじめに 1.事実やデータによって科学理論は証明できるか? 2.そもそも科学にとって事実とは何か? 3.事実・データと検証の関係 4.「それってあなたの感想ですよね」「なんかそういうデータあるんですか?」 5.本当の問題と科学的正しさについて 【参考文献…

性的消費、性的まなざしとは何か?

0.はじめに 1.表現することそのものへの批判 2.表現物の背景にある文化への批判 3.性的な描写の背景にはどのような文化が存在するか。 4.その表現がどこでどのように利用されているか(広報と空間の問題) 5.結論 0.はじめに 表現とその表現への批判にまつわる…

暴力の記憶を語ることの難しさ~『君は永遠にそいつらより若い』~

はじめに 1.「当事者」として語ることの困難 2.ホリガイ(堀貝)と対比的な二人の人物 2.1ホリガイとカバキ(河北) 2.2ホリガイ(堀貝)とイノギ(猪乃木) 3.「君は永遠にそいつらより若い」 3.1【補足】 4.【関連図書】 はじめに 今回は、どうしようもないコミュ…

論点のすり替えに騙されない論点整理の方法

0.はじめに 1.論点のすり替えとは何か 2.言葉を都合よく言い換える。 3.言葉を対比させて論理をすり替える。 4.論理のすり替えが許される時 5.【参考文献】 0.はじめに この記事では、議論で相手に巧(うま)く言い返せず悔しい思いをしたことのある人向けに…

詭弁で論破されない方法

0.はじめに 1.身を守るための議論力 2.問いは議論を制す~レトリックと詭弁その1~ 3. 問いは議論を制す~レトリックと詭弁その2~ 4.【引用文献と重要な余談】 0.はじめに この記事は、議論でやたらと論破しようとしてくる相手に困った経験がある人向けに…

議論が苦手な人のための議論の方法

0.はじめに 1.議論ができない人、議論が苦手な人へ 2.なぜ議論が苦手になってしまうのか。 3.不毛な議論にしないための議論の方法 4.参考文献 0.はじめに この記事は、議論が苦手だと感じる人に向けて、ちゃんとした議論をするための初歩的な注意事項をまと…

なぜ論破する方法やコツを学ぶことは無意味なのか?~議論に強くなりたいなら~

0.論破する方法やコツを知りたがる人達 1.議論好きが議論をダメにする。 2.勝ち負けにこだわるようになるとどうなるか。 3.ただの論破は意味がない 4.議論は勝ち負けじゃない? 5.極端な議論嫌いも問題だ 6.参考文献 0.論破する方法やコツを知りたがる人達 …

痴漢大国と言われるこの国でなぜ痴漢冤罪ばかり取り上げられるのか~ジェンダーやフェミニズムだけの問題ではない。

1.なぜ痴漢冤罪ばかり問題視されるのか 2.痴漢は依存症的行為である 3.人として尊重されないという不安 4.パーソナルスペースを侵害される不快感 5.痴漢問題はジェンダーやフェミニズムだけの問題ではない 6.【参考文献】 1.なぜ痴漢冤罪ばかり問題視される…

恋愛ができない非モテのこじらせはなぜ辛いのか?

0.前置き 1.恋愛ができないことの辛さとは何か。 2.「お金で買えないかけがえのない価値」とは何か。 3.解決手段としての恋愛 4.生きづらさのありか。 5.今回の内容に関連する参考書籍 0.前置き ※今回は書いていて色々と思うところがあったためです・ます調…

シーライオニングとネット論客の詭弁術

1.シーライオニングとは何か? 2.ネット論客のシーライオニング 3.悪質なシーライオニングの問題点。 3.1 追記 4.【関連記事&参考文献】 1.シーライオニングとは何か? 嫌われる行為の一つとしてシーライオニングというものがよく話題に挙がる。しかしこの…

女性専用車両やレディースデイは男性差別か?

0.はじめに この記事では、男性差別のような逆差別と呼ばれるものについて考え検討する。 前回までの記事で差別はなぜ悪質かについて見てきたが、今回男性差別のような逆差別について考えるのは、「逆差別を無視している」というよくある批判に答えるためだ…

差別はなぜいけないのか~差別の定義について~

0.はじめに この記事では差別とは何なのか、差別はなぜいけないのかを考えていく。 差別がなぜいけないのかを改めて考えることは、差別はいけないと分かっている人にとっても重要だ。 以前も書いた通り、差別の何が悪質なのかについて考えずに差別を批判し続…

自粛疲れと自粛警察

正直、愚痴りたい。 愚痴りたいのだが、コロナショックが混乱を引き起こしそうなこの状況でいきなり愚痴から入るのもどうかと思うので、まずは基本的なことについて、共有できる常識的なことについて話していくことにしよう。 こういう事態には正確な危機管…

偏見で語ることと差別の違い

0.はじめに 1.偏見と差別 2.偏見でも差別じゃない場合 3.偏見が生まれるのは仕方ない 4.正確で客観的な事実でも差別となる場合はある 5.偏見と差別は別問題 6.【参考図書】 0.はじめに この記事では、差別と偏見に違いがあるのかについて考えていきたい。 差…

差別と区別の違い~「差別ではなく区別」は本当か~

0.差別はいけないことである。 1.区別か差別か 1.1実害がなければ差別ではなく区別か? 1.2.合理的なら差別ではなく区別か? 2.偏見によって特定のカテゴリを語ること 3.【参考図書】 0.差別はいけないことである。 多くの人がこの世界から差別が無くなって…

ミステリの歴史と「後期クイーン的問題」

0.はじめに 1. 本格ミステリの歴史 2.後期クイーン的問題について 3.後期クイーン的問題以後の探偵 0.はじめに 日本のミステリの歴史を語る上で重要視され、本格ミステリの衰退の原因ともされる問題として「後期クイーン的問題」というものが頻繁に挙げられ…

『虚構推理』と本格ミステリ

1.ミステリとは何か 2.アンチミステリとしての多重解決 3.ポスト本格ミステリとしての『虚構推理』 1.ミステリとは何か 『虚構推理』のアニメ化が決定し、ミステリにも若干のスポットライトが当たり始めている今、この記事では、80年代の新本格と呼ばれる黄…

公共空間の消失とアイデンティティの時代を生きる

0.なぜいま公共について考えるのか なぜ今公共概念を問う必要があるのかと言えば、公共という概念が消失しているということを通して「左翼と右翼の対立」を問い直す必要があるからだ。 私がこれから言及するリベラリズムという概念は一般に膾炙している「リ…

自己責任論と共感性

1.「優しい」自己責任論 2.寄付の物語 3.物語とナショナリズム 1.「優しい」自己責任論 現在の世論の中には、貧困問題や性被害の問題などは個人が解決すべき問題であるから社会全体の問題にするべきではないとするような自己責任論が存在している。 例えば…

偽善者叩き、偽善批判の偽善~しない善よりする偽善?~

1.エンタメ化する偽善バッシング 2.全ての弱者を支援することの不可能性 3.しない善よりする偽善? 4.うしろめたさと同居すること 1.エンタメ化する偽善バッシング 前回までの記事では、差別や貧困、犯罪などの数多くの社会問題がこの世界に存在することを認…

「真の弱者」はどこにいるのか~「キモくて金のないオッサン(KKO)」論の誤謬~

0.前回までのあらすじ 1.「真の弱者」論 2.「キモくて金のないオッサン(KKO)」論 3.弱者性のブランド化、同情の再分配 4.同情(承認)争奪戦としての弱者論争 0.前回までのあらすじ 前回の記事で、人間には弱者や被害者の存在を否認することでこの世界を正常だ…